ユーザー登録
文字サイズ

未来のアスリートたち

未来のアスリートたち

 2016年、ブラジルのリオデジャネイロで開催された第31回オリンピック・第15回パラリンピック。スポーツが好きな方はもちろん、普段はあまりスポーツに興味がないという方も、毎日気になって仕方がなかったのではないだろうか。研鑽(けんさん)を積んできたアスリートたちの姿に、私たちは感動したり、勇気をもらったりする。
 テレビや新聞で目にするアスリートたちは、遠い存在に見えるかもしれない。けれど、そんなアスリートたちにも、初めて競技に触れた瞬間があり、中学生だったり、高校生だったりした時期が必ずある。そして、今も、未来のアスリートを目指す子どもたちがいる。
 今月号は、岩見沢市で未来に向かってひたむきに頑張る子どもたちを紹介する。
問合先 市秘書課広報係

【小山田 凌 Ryo Oyamada】
 サッカー Soccer 世界に向かって成長し続ける

 「ボールが遊び道具って感じで、どこに行ってもボールを蹴っていました」
 昔からサッカーをしていた父に影響され、3歳の時には、もうボールを蹴っていた。小学校入学前から岩見沢ジュニアFCに入り、以来一度もやめることなくサッカーを続けている。上を目指すための努力をずっと続けてきた。現在は北海道コンサドーレ札幌アカデミーのU‐15に所属し、週5日、放課後になると母の送迎で札幌に通っている。
 「将来はサッカー選手になりたいです。コンサドーレに入って、そこから海外に進出したい」
 練習だけでなく、身体づくりのための食事や筋力トレーニングなど、目指す目標のための努力は欠かさない。その努力の甲斐あって、今年度、第31回日本クラブユースサッカー選手権(U‐15)大会に出場し、7試合で5ゴールを決め、3位に入賞した。
 「何度かゴールを決めて、チームの勝利に貢献できたことは良かったです」
 だがその一方で、「全国大会で満足した部分はありません。課題ばかりです」と、言い切る。「自分は戦略的なプレーが出来ていないと感じています。昔は体が大きい方だったから体でカバーできていたんですけど、周りが体格で追いついてきて、自分の技術のなさに気付かされています」
 小山田さんが目標とする選手は、川崎フロンターレ所属で、3年連続Jリーグ得点王の大久保嘉人選手だ。小山田さんは熱く語る。「なんでこんなに点が取れるんだろう?と思って動画を見たら、常に得点に飢えてるような、シュートを打ったらこぼれ球は拾いに行くし、どんな状況でもあきらめないで飛び込んでいくっていうのを見て、あぁ、これなんだなって」
 より強くなるために努力を重ねる小山田さん。だが、一時あまりにもサッカーに全力を注ぎ過ぎて、緊張の糸が切れてしまったこともあったようだ。「夏の全国大会の後、次の目標を見失っちゃって。でも頑張らなきゃ、頑張らなきゃって」
 その経験から、今はリフレッシュも大切にするようにしている。
 「試合を楽しめる方が、結果が出ますから」
 いつか世界へと羽ばたくその日を目指し、揺るがないサッカーへの思いを胸に、小山田さんは目標へと向かっている。

【平井 詩歩子 Shihoko Hirai】
 野球&ピアノ Baseball&Piano 二刀流で、高みを目指す

 「目標にしているのは北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手。女子選手なら、北海道出身でワールドカップ侍ジャパン女子代表の金(こん)由起子選手です」
 少し緊張した面持ちでそう語るのは女子野球チーム「オホーツクシャイニングガールズ」に所属する平井詩歩子さんだ。
 「父と兄が野球をやっているのを見て、楽しそうだなって」
 小学1年生で野球を始め、岩見沢第一アトムズで6年間、投手・内野手を続けてきた。中学生になり、緑中学校の野球チームに所属しながらも、さらなる活躍の場を求めてオホーツクシャイニングガールズにも所属を決めた。
 今年の7月、目標としていた第1回全日本中学女子軟式野球大会に出場し、ベスト16入りした。
 「全国大会ではサードとライトと、ピッチャーもやって。自分のヒットで点が取れたのが嬉しかったです。でも、自分が投げてて点を取られたのは悔しかったです」。大会を振り返り、こう語る。「ピッチャーとしては、コントロールに自信があるんですけど」と表情にも悔しさがにじむ。
 ここまで、順風満帆だったわけではない。大きなけがも経験した。「けがが治るまでの4・5カ月は練習もできなくて、できることをやるようにしていました」。けがの経験から、練習後のストレッチなどはより一層入念に行うようになったという。
 平井さんがずっと続けてきたものは、野球だけではない。幼稚園の頃からピアノも続けており、全国大会にも出場している。まさに文武両道なのだ。
 「ピアノの練習は毎日やろうと思っています。コンクールに出て上を目指したいです」
 月に3回教室に通い、腕を磨いている。目指すのは、楽しさをお客さんに伝えるような演奏だ。
 「ピアノと野球、どっちの方が好き?」と少し意地悪な質問すると、「えぇー…決められない…。どっちも好きです」と少し困った顔をしながら答えてくれた。「ピアノをやっているおかげで指が広がるから、変化球とかを投げるのにもいいんですよ」
 野球とピアノ。平井さんはこの二刀流をさらに研ぎ澄ましていくに違いない。そしてそのプレーと演奏で、多くの人の目と耳を楽しませてくれることだろう。

【光陵中学校女子剣道部 Koryo Junior High School Women’s Kendo Club】
 仲間と喜びを分かち合う瞬間のために

 「強く 優しく 美しく」
 そんなスローガンを掲げ、日々稽古に汗を流しているのが光陵中学校女子剣道部の皆さんだ。足を踏み込む音、竹刀の「バシッ」という音、掛け声…。練習だというのに、その気迫に飲み込まれそうになる。
 だが一転、面を外すと現れたのはまだあどけなさの残る少女たちである。礼儀正しく、明るく笑顔が絶えない、まさに先述のスローガンを体現している部なのだと感じた。
 女子剣道部は9人で活動している。剣道を始めたきっかけもさまざまだ。「家族がやっていたから」「憧れて」などなど。7人は小学校から剣道を続けているとのことだった。
 そんな彼女たちは今年度、全国中学校体育大会第46回全国中学校剣道大会でベスト16入りした。「決勝トーナメントで負けました。予選で力を使い果たしたというか、研究不足だったというか…」すぐに周りからこんな声が飛ぶ。
 「でも、研究すれば勝てるよね!」
 練習していてつらいことは?と聞くと、全員が「先生との掛かり稽古!」と口をそろえた。掛かり稽古とは、相手のすきを狙って一方的に打ち込むもので、動き続けながら絶えず技を出さなければならず、息が続かなくなるという過酷な練習だ。「疲れを見せると長くなります。『何疲れてるんだ!』って(笑)」そう言いながらも、彼女たちの表情は底抜けに明るい。剣道が好きでたまらないといった感じだ。主将の松井さんは「練習はつらいけど、やらないでいると稽古したくなります」と語る。「道場に入るとスイッチが入って、テンションマックス!みたいな」
 インタビューの最後に、3年生の2人から後輩へのメッセージを聞いてみた。「全道三連覇して、全国大会で上位に入賞してほしいです。あと、みんな仲良くすること!」
 剣道を心から愛する光陵中学校女子剣道部。彼女たちのひたむきな努力と笑顔に、今後の活躍を期待せずにはいられない。

【中西 美貴 Miki Nakanishi】 立ち幅跳び&50m走 Standing long jump&50metres
【北林 日出成 Hidenari Kitabayashi】 50m走&200m走 50metres&200metres
【福本 香澄Kasumi Fukumoto】 スラローム&50m走 Wheelchair Slalom&50metres
 スポーツの喜びをかみしめて

 第16回全国障害者スポーツ大会「希望郷いわて大会」で堂々のメダルを獲得した福本香澄さん、北林日出成さん、中西美貴さん。岩見沢高等養護学校に通う3人は、お互い出場種目や障がい区分も違うが共に練習に打ち込んできた、いわば戦友だ。
 福本さんは、車いすで30メートルのコースに2メートル間隔で設置された赤と白の旗門を色に応じて前進・後進しながら通り抜け、タイムを競うスラロームで2位、50メートル走で3位。北林さんは50メートル走で1位、200メートル走で2位、中西さんは立ち幅跳びで1位、50メートル走で2位という好成績だ。
 彼らの練習場は、学校のグラウンドと廊下だ。廊下では練習にはいささか距離が足りないのでは?と思ってしまうが、「学校が平屋建てなので、廊下でも50メートルを測れるんですよ」とのこと。
 3人が競技を始めたのは1年生の終わり頃。小樽市で開催された全道大会がきっかけだった。
福本 私はもともと車いすで走れることがうれしくて。走る機会を獲得したかった。
北林 走ることが好きで。小樽なら距離も近いし「出れるな」と。
中西 私は最初は全然陸上とか興味なくて…。大会に出たのも、友達が出るから、それならと思って。そしたら全国行けるって言われてびっくり。
 全国大会の感想を聞くと、「自分たちの実力はまだまだだなって」「すごい人は風格がある。この人は速い!って」「この人には勝てないなって思っちゃう」と、全国大会の洗礼を受けたようだ。
 それでも、本番になると燃えた。「大会の時は、絶対に負けたくないと思って。負けた時は涙が出ました」
 高校3年生。もうすぐ卒業でお互い進路は異なるが、3人とも陸上は続けるつもりだ。
福本 私は車いすに乗っているという点でハンデが大きいので、ずっと続けていけるのか、不安はあります。でも、大学に通って慣れたら、陸上も再開したいです。
北林 僕も陸上競技は続けていきたいと思っています。別のスポーツにも挑戦してみたいです。バドミントンとか。やってみたら楽しくて。
中西 今まではスポーツとか、この身体だからできないと思ってたので、大会で「自分はこういうことができるんだ」ってことが分かりました。これからも続けたいです。
 卒業後、3人がまた全国大会で出会うこともあるかもしれない。その日が楽しみだと思った。
    ◇      ◇ 
 今回の取材で印象に残ったのは、子どもたちの力強いまなざしだ。夢を持ち、未来へ向かっているからこそ、彼らの瞳は輝いて見えるのかもしれない。

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル